クコはナス科の落葉低木で、湿り気のある水辺の砂地を好んで生えます。日本から中国、台湾、マレー半島などのアジア東部に広く分布します。茎がつる状に伸びて、6月から9月にかけて淡紫色の可憐な花が咲きます。その後、秋になると1cm位の小さな真っ赤な実がなります。この実は採取され天日乾燥されます。これを「枸杞子」と呼びます。クコの実のことです。
名前の由来は、「枸(カラタチ)のようなトゲがあり、杞(コリヤナギ)のように枝がしなやか」なことから枸杞と名付いたとされます。(クコ)は漢名の枸杞をそのまま音読みにしたものです。
現在、市販されているクコの実はほとんど中国産のクコの実です。内モンゴルや河北省など多くの産地がありますが、最も質の良いとされているのが寧夏(ねいか)産のクコの実です。『クコの実=寧夏産』と言われるほどです。また、寧夏産の枸杞の実のことを略して『寧杞』と呼ばれています。
寧夏は、中国大陸の西北部、海抜1,000〜1,200mの高度高原であり、クコの実、スイカ、甘草、発菜、蓮根、大棗などの野生植物が豊富ですが、中でもクコの実は「紅宝」(赤い宝物)と言って重宝されております。
薬膳に欠かせないクコの実は、古くから滋養強壮の食品として知られています。有名な李時珍の『本草綱目』には、長寿の妙薬との記載もあります。
また、中国では、昔からこんな言い伝えがあります。「長旅に出る夫にはクコの実を食べさせるな」と。
中国の女性たちは長旅に出る夫には絶対にクコの実を食べさせなかったそうです。昔は今みたいに交通手段がなかったので、ちょっとした旅も日数がかかったそうです。クコの実を食べて精力をつけた夫が旅先で浮気をするのではないかと、とても心配したからです。
クコの実の有効成分はベタイン、ゼアキサンチン、リノール酸、ベータカロチン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、鉄分、マグネシウム、亜鉛などです。
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