抗腫瘍作用に関するマウス試験
(株)新薬開発研究所(日本:北海道/2004年実施)でマウスを用いた抗腫瘍作用に関する試験が行われた。5週齢のマウスに腫瘍株細胞(乳腺癌Adeno-cancinoma 755) を移植し、移植翌日より、天仙液改良型を1日1回、14日間反復で径口投与した。最終投与日の翌日、腫瘍を摘出し、その重量を測定した結果、0.2cc/day匹投与群は対照群(注射用水投与)と比較して統計学的に有意な腫瘍増殖抑制作用が確認された(表5、表6参照)。平均抑制率62.0%を示し、腫瘍湿重量の比較で最大差は89.4%であった。同試験で同年に行われた別の試験結果からは、天仙液改良型0.1cc/day/匹の投与で有意性が認められたものの、0.4cc/day/匹の投与ではそれが明確ではなかったことから、天仙液改良型は容量に依存して抗腫瘍効果を有することが認められた。なお、一般的な抗悪性腫瘍薬に見られる体重減少、一般状態悪化などの副作用は示されなかった。
◎表5 天仙液強効型の抗腫瘍作用 に関する試験(腫瘍湿重量)
(単位:mg)
対照群(注射用水) [0.2cc/day/匹] |
天仙液改良型 [0.2cc/day/匹] |
1243 |
406 |
1091 |
186 |
1541 |
871 |
1030 |
451 |
1376 |
178 |
1209 |
846 |
1114 |
569 |
1066 |
163 |
|
 それぞれの数値は8例の平均値±標準誤差を表す “p<0.01”、対照群と比較してt-test検定で有意差あり |
動物よる毒理学試験
マウス試験
マウスに天仙液改良型を径口投与した。絶対致死量は、18.2g/kg、最小致死量9.1g/kgであったが、明らかな慢性毒性は見出せなかった。また、LD50(Lethal Doseの略で、50%の致死量を意味する)は13.62±1.6g/kg(表7参考)であった。死亡したマウスの致死原因は呼吸困難であったことがわかった。
◎表7 マウスの天仙液急性毒性試験バラメータ
絶対致死量 |
18.2(g/kg) |
最小致死量 |
9.1(g/kg) |
投与後死亡最短期間 |
4時間 |
延命最長期間 |
3日 |
死亡動物の平均生存時間 |
1.5日 |
中毒動物の正常回復までの時間 |
1.5日 |
LD50 |
13.62±1.6(g/kg) |
(*注)昆明種マウス(体重19〜21g)を用いて天仙液投与群を7段階の投与量に設定し、各10匹ずつのマウスの経過を調べた。また、最大の投与量を7.1g/kgとした 投与量は1:0.7でOP×1低減し、投与後3日ごとに体重を測定しながら16日間観察した上、ブロビット単位法(平均5、標準偏差1を持つ正規の変量)でLD50を算出した。 |
ラット試験[その一]各3.5g/kg、2.8g/kg、18.4g/kg、15.3g/kgの天仙液をラットに径口投与を行い、1週間観察したところ、特に目立った毒性反応は見られなかった。
ラット試験[その二]各4、2、1g/kg、毎日1回、計90日間、天仙液を投与した。投与ときの観察期間において、各投与量別にラットの体重増加の加速度が非投与に比べ若干緩慢であったほかは赤血球、白血球、血小板、心臓、肝臓、腎臓などの機能には著しい影響は見られなかった。さらに、45日と90日を経過した投与群のラットを生体解剖により病理学検査をしたところ、特に目立った障害は見られなかった。
ネコ試験各0.7g/kg、0.6g/kgで天仙液径口投与した。両グル−プのネコのうち、半数以上が投与後数時間で嘔吐し、同時に心臓の動きが緩慢になり、心電図の変化が見られた。多量投与群の1/3が、V度の伝導ブロックから心室ダメ−ジを受け、洋地黄(ジギタリス。南ヨ−ロッパ原産の薬用植物)の心室反応と類似した症状で死亡した。さらに、死亡しなかったネコに天仙液を再度投与したところ約7時間で正常に回復した。上記の急性毒性反応などから、天仙液は原則的には不毒物類薬に属するが、各動物の毒性反応のアレルギ−性は動物によって様々であった。なお、ジギタリス系薬物を服用している患者は本薬を併用してはならない。